放火された京都アニメーション第1スタジオを肩を寄せ合って見つめる女性(写真:AP/アフロ)

 年が明けた2020年の1月8日、「津久井やまゆり園大量殺人事件」の初公判が開かれると報道がありました。

「津久井やまゆり園大量殺人事件」は、2016年7月26日、神奈川県相模原市の特別養護施設「津久井やまゆり園」に、元同園職員の男が侵入し、19人を殺害、26人に重軽傷を負わせた凶悪事件、ご記憶の方も多いと思います。

 初公判を迎えるまで、2年6か月の年月を要したことから、事実認定だけでも膨大な時間がかかったことがうかがわれます。

 この裁判で、被告の弁護側は「犯行当時、被告人は心神喪失状態であった」として、無罪を主張することを、共同通信が伝えています。

 その根拠として、被告人は事件前に精神病で措置入院させられており「大麻精神病」と診断されていたことが挙げられています。

 こうした主張が成立するなら、今後、犯罪を犯そうと思う人は、あらかじめ大麻中毒などになっておき、そのうえで凶悪犯罪を犯して「心身喪失状態でした」と言えばよいことになりかねません。

 結局この主張は、有期刑で争っても勝ち目などないことから、責任能力がない「無罪」で1審を迎えようという、法廷戦術的、テクニカルな作戦の選択と言わざるを得ません。

 当然ながら、裁判員裁判では一般国民が審理に参加し、検察側は最高刑を求めることが予想されます。

 法律はずぶの素人である多くの裁判員は、一度見ると生涯脳裏に焼きついて離れないような証拠確認にも参加し、体調不良で裁判員を辞退するケースが続出する可能性も考えられます。

 結局、それ相応の1審判決が下って終わることでしょう。