稼ぐカネも使うカネも桁違い

 扱うようになった「商品」の違法性や危険度は、処方薬のネット販売とは比べものにならない。しかし、はるかに金になるものばかりだ。東南アジアでは北朝鮮で作られた純度の高いメタンフェタミンを売りさばき、南米では大規模なコカイン取引をおこなう。ライフルといった武器や爆薬の原料になる硝酸アンモニウムなどの商売相手は、ならず者国家や軍閥、テロリストなど、金がある者なら誰彼なく売りさばく。

 こういった通常商品(?)だけではない。巡航ミサイル・トマホークと同じ性能を有するミサイル誘導システムを開発してイランに売りつけようと、20人以上の技術員を雇い入れたこともある。その事業欲はとどまるところを知らず、信頼する部下に勧められたプロジェクトには一千万ドルの資金をポンと出すありさまだった。

 そんな事業のひとつが、ソマリアでのマグロ漁業である。失敗に終わったとはいえ、これはまだ理解できる。ある時など、セーシェルの政府を転覆させて国を乗っ取ろうとしたことがあるというのだから、荒唐無稽すぎて訳がわからない。

本コラムはHONZの提供記事です

 めったに「会社」の「従業員」たちにも姿を見せないル・ルー。その「ビジネス」の全容は本人以外にはまったくわからなかった。もちろん、その資産はすごい。身が危うくなった時、大慌てで香港のアジトに隠されていた金の延べ棒を換金したことがある。その時、9200万ドルもの送金がおこなわれた。すべての闇資産を合わせればいったいいくらあったのだろう。

いよいよ逮捕プロジェクトが始動

 ところが、着るものといえばTシャツにビーチサンダル。女には派手に金を使うが、私生活はケチ。ある時、ホテルのランドリーサービスが高いといってその金を出し渋った。シャツ1枚に2ドルを「馬鹿みたいな値段」と怒るル・ルー。偽造されたコンゴの外交官パスポートの写真がこれだ。結構まともに見えるような気がするが、ホントに訳がわからない。