週末につくば学園都市で研究会の予定があったので、その往路に所在する、先日の水害被災地を通るルートで赴き、サイエンスの若い仲間たちと、決壊現場などの見学に出向くことを考えました。
被災地に関する報道は断片的で、むしろSNSなどを通じて得られる情報の方が細かく具体的でした。ただしSNSの情報は必ずしも科学的でなく、誤った推論なども数多く見かけました。
そのような際には、具体的に現地で確認するに限ります。
かつて物理学者のリチャード・ファインマンは、「スペースシャトル・チャレンジャー」の爆発事故に際して、事故の遺物を丹念に検証し、O(オー)リングというゴム部品の極微のミスがシステム全体の爆発を誘引したことを突き止めました。
それにあやかる、というのではなく、スペースシャトル事故の10年ほど前から、地学巡検のフィールドとして歩いていた懐かしい千葉の地理と災害の現実にアプローチし、再発防止を考えたいと思ったものです。
世間では「桜を見る会」が話題のようですが、畑違いの科学者諸君との「“佐倉”を見る会」いずれも再発防止がポイントと思います。
佐倉洪水の「決壊」現場?
高速を降りてまず第一に向かったのはJR佐倉駅です。
佐倉には、JRと京成線、2つの鉄道駅があり、いずれも都内と成田空港とを結んでいますが、今回の洪水で水が線路を覆ったのはJRで、京成線は被害を免れました。
JR佐倉駅は、高速道路側にあたる高台から水が流れ落ちる途上の平地にあり、その先には「佐倉城」など古くから高台が所在して、その先に京成線と京成佐倉駅があるという立地。
古くから開けていたのはむしろ京成佐倉駅側で、こちらにも農業用水が流れていますが、浸水などは免れたとのことでした。
「佐倉が洪水で大変だ!」という報道があった直後から、データベースで確認して気になっていたことがあります。
それは、洪水が伝えられる箇所が複数あり、その標高が異なっている点です。