ストックホルムで行われていた米朝実務者協議が決裂して2週間。その後何か新たな動きが出てきたことを受けての発言なのかどうか。

 あるいは日増しに逃げ場を失いつつある「ウクライナゲート疑惑」を巡る弾劾調査を意図的に無視するために「外交上の成果」を自画自賛したいだけの発言か。

 米外交の基本姿勢を重視し、国際法に基づく国際秩序のイロハを知らないトランプ大統領。

 普通の大統領であれば、自分が指名した駐韓大使の公館が親北朝鮮の分子に奇襲された事件には真っ先に反応を示していただろう。

 韓国の中央日報は21日付の社説でこう指摘していた。

「米国務省が異例的に強い語調で(今回の事件について)遺憾の意を表明した点が懸念される」

「10月22日から24日にはハワイで開かれる在韓米軍防衛費分担特別協定(SMA)交渉ではできるだけ目立たぬスタンスで臨もうとしていた韓国としては困ったことになった。国益を考えると痛恨な事件になりかねない」

https://japanese.joins.com/JArticle/258734

 トランプ政権は韓国に対し現行の防衛分担費の5倍増を非公式に要求しているとされている。今回の事件を逆手にとって一層プレッシャーをかけてきてもおかしくないはずだ。

 ところが次から次へと出てくる政権内の高官たちの証言で身動きできないトランプ大統領にとっては「駐韓米大使公館侵入事件」など構っていられないのかもしれない。

 文在寅大統領も韓国警察当局もラッキー(?)だったのかもしれない。