台風15号の直撃で停電や断水が続く千葉県。写真は信号機も作動しなくなった木更津市の道路(写真:ロイター/アフロ)

 千葉市の熊谷俊人市長のツイッターが賛否両論の議論を巻き起こしていることは、すでに広く報道されているかと思います。

 出来事を簡単に振り返っておきましょう。

 台風15号の被害で、千葉県内・千葉市内の多くの地域で停電や断水が発生している中で、水遊びをしていた養護学校の生徒たちに苦情が寄せられたのに対し、「心を寄せていただいたうえで、自粛はご遠慮ください」とツイートしたというものです。

 熊谷市長のツイートが「不謹慎」か、あるいは「不謹慎ではないか」といった議論をここでするつもりはありません。

 全く問題もありませんし、首長として非常に的確な発信をしていると思います。おかしな自粛など一切するべきではありません。

 また、そのようなクレームを寄せた人に対して、クレーム自体を取り立てて云々するつもりも全くありません。

 以下では、そのどちらの意見も見逃している、災害やその復旧途上での私たちの行動に関するより本質的な背景を考えてみたいと思います。

養護学校の子供たちは「不謹慎」か?

 まず再度、熊谷市長のツイート(https://twitter.com/kumagai_chiba)を振り返ってみます。9月11日付で次のようにツイートしました。

「養護学校の生徒が水遊びしていることについて『災害の中、不謹慎』との苦情が入りました(その方は停電は発生していない地域にお住い)。確かに千葉市内をはじめ、県内が停電・断水ななか、不謹慎と思う方もいるかもしれませんが、自粛しても意味がありません。心を寄せていただいたうえで、自粛はご遠慮下さい」

 実際、このツイート(https://twitter.com/kumagai_chiba/status/1171886373277597696)へのリアクションをご確認いただくと、多くの人が熊谷市長の見解に賛同しているのが確認できると思います。

 まず、子供たちの立場に立つなら、水遊びは「涼をとり」「熱中症その他を予防する」のに有効であるのみならず、自宅が被災して家で入浴できない子供もいたとのことですので、衛生その他の観点からも、むしろ推奨されるべき行動であったと言えるでしょう。

 また、養護学校の生徒たちは、様々な変化に敏感に反応し、予定されていた水遊びがキャンセルになったりするとパニックを起こしたりする場合もある、といった背景も報道されています。