このスラバヤでの出来事がニュースやインターネットで瞬時にして国中に伝わると、パプア州や西パプアの地方都市で怒ったパプア人が町に繰り出して抗議のデモを始めたのだった。

インドネシア領パプアで暴動、議会に放火も 独立派の拘束受け

インドネシア・西パプア州マノクワリで警察と対立するデモ参加者ら(2019年8月19日撮影)。(c)AFP 〔AFPBB News

 19日にはスラバヤ市長、東ジャワ州知事らがテレビカメラの前で「パプ人学生への差別発言があったことを陳謝する」と市民による差別発言を謝罪した。

 しかし市長や州知事と同席していた警察幹部は横で頷き遺憾の意は示すものの、決して現場の警察官によるとされる差別発言を非難したり、当事者を特定して処分したりするなどの対応策に言及することはなかった。

状況判断を誤った治安当局

 実はこの学生寮の事件の前日16日、同じ東ジャワ州のマランでパプア人による「独立要求」の小規模なデモも起きていた。このデモと17日のスラバヤでのパプア人学生寮家宅捜査、学生の身柄拘束という行為の与える影響と波紋を治安当局は過小評価していた可能性がある。

 17日はインドネシアの74回目の独立記念日で、首都ジャカルタの大統領官邸など主要都市の公官庁では盛大で厳かに紅白の国旗を掲げる記念式典が行われていた。その日に国旗を捨てるという「反国家的行為」がネットにアップされれば、愛国心が普段にもまして高まっている一般国民の怒りに火が付くのは誰しもが予想できることである。

 しかし政府や治安当局は、あくまでパプア地方外のパプア人による小規模なデモ、そして国旗事件も一部による反国家的行動として局所的、個別的に対処して事態は拡大しないと踏んでいた節がある。

 ところが、学生寮での捜索の際に発せられた警察官や一般市民による侮辱的な差別発言が、パプア人の中に潜在的にある被差別感情に一気に火を注ぐ結果となり、パプア州や西パプア州のソロン、マノクワリ、ビントゥニ、ファクファク、ジャヤプラ、ナビレ、ビアク、ティミカ、メラウケと各地で次々とパプア人による激しい抗議運動に飛び火したのだった。

 こうした想定外の抗議運動の拡大に慌てた国家警察は機動警察部隊を現地へ急派し、閣僚以下が次々とマスコミに登場して「事態の沈静化」を唱え始めたのだった。