政策については、安倍政権の政策が必ずしも順調に展開していないことを指摘しておきたい。

 典型は外交である。

北方領土、拉致問題で全く進展がない安倍外交

 参議院選までには、ロシアのプーチン大統領との間で、いわゆる「二島返還論」で平和条約・北方領土問題を解決する予定であった。しかし、ロシア側の事情もあって、全く先の見通しが立たなくなっている。

 拉致問題も同様である。6月30日、三度目の米朝首脳会談が、急遽、板門店で開かれたが、日朝首脳会談については全く進展がない。これでは、拉致問題の解決は覚束ない。

 G20首脳会議はテレビの外交ショーとしては意味があったが、イラン情勢については議論すらしなかった。6月13日に安倍首相がテヘラン訪問中に、日本などのタンカー2隻が攻撃されたが、安倍外交がイラン情勢を緊張緩和に向かわせてはいない。

G20は必要か? 大阪サミットで無力さ浮き彫りに

大阪で行われた20か国・地域(G20)首脳会議(サミット)に出席した米国のドナルド・トランプ大統領(右から3人目)、安倍晋三首相(右から2人目)、中国の習近平国家主席(右、2019年6月28日撮影)。(c)Brendan Smialowski / AFP〔AFPBB News

 G20は、保護貿易や地球温暖化問題については、トランプの我が儘を制止することができなかった。しかも、議長国として自由で公正な貿易をうたった日本が、その舌の根も乾かぬうちに、韓国に対して、元「徴用工」訴訟問題で、半導体製造などに不可欠な先端素材の輸出規制措置を発動している。G20では、日韓首脳会談も開かれず、両国関係は最悪の状態になりつつある。

 韓国への輸出規制措置については、日本政府は徴用工問題の報復措置ではないと説明したが、実際は問題解決に向けて動こうとしない韓国への報復である。政治・外交問題の解決のために、通商分野で規制することはふさわしくない。移民政策でメキシコに関税上乗せを示唆したトランプと五十歩百歩である。世界も、この安倍首相のトランプ流には驚いているが、ブーメラン効果で日本企業も損害を受ける。どのように収束するつもりなのか。

 参院選を前にして、安倍政権は、対外強硬の姿勢を見せると票が集まると考え、今回の措置をとったものと思われる。4日から、実際に規制措置が発動されているが、出口は全く見えていない。