W杯制覇のラピノー、ホワイトハウスは「行かない」 チームメートも同調へ

女子サッカーW杯フランス大会決勝、米国対オランダ。優勝を喜ぶミーガン・ラピノー(右から2番目)ら米国の選手(2019年7月7日撮影)。(c)FRANCK FIFE / AFP〔AFPBB News

 トランプ大統領を「無能」だと批判した公電が漏洩して、イギリスのダロック駐米大使が辞任したが、世界一の大国の指導者として、大統領の言動は単に型破りであるだけでなく、米中摩擦、イランとの緊張激化、北朝鮮外交など、世界中で不安定要因を増やしている。

 しかし、この大統領に対して、市民、議会、裁判所などが異議申し立てを行っており、そこにアメリカの草の根民主主義の力強さと契約によって新国家を創造した歴史を感じる。これに対して、伝統社会日本では、民主主義の原理原則ではなく、村八分、「強いものには巻かれろ」、「空気の支配」というような風潮が息苦しい社会を生んでいる。

 最近のアメリカのいくつかの事例を取り上げて、そのことを考えてみたい。

「大統領から招待されてもホワイトハウスに行きたくない」

 第一は、日本が早々と敗退したサッカー女子W杯で、オランダを2−0で破り、4度目の優勝を果たした米チームである。最優秀選手に選ばれたミーガン・ラピノーは、トランプの差別発言を批判して、以前から「大統領から招待されてもホワイトハウスに行きたくない」と明言していた。

 トランプは、これに対して、「勝ってから言え!」と噛みついていたが、実際に勝ってしまった。今のところ、大統領からの招待状は届いていないという。ナショナルチームの選手が堂々と大統領の言動を批判できる自由、そして、7月10日のニューヨークでの優勝凱旋パレードも盛大に行われる寛大さこそ、アメリカ民主主義の強さであり、アメリカという国の活力である。

女子W杯優勝の米国代表がパレード、ファンが「平等な賃金」求める

米ニューヨークで行われた女子サッカーW杯優勝パレードに参加する米国代表の選手(2019年7月10日撮影)。(c)Bruce Bennett / Getty Images / AFP〔AFPBB News

 もし、日本の女子サッカーチームの選手が同様の行動を起こしたらどうなるか、想像するだけでも嫌になる。「税金を使っているのに政府批判とは何事か」「他の選手の迷惑も考えろ」「パレードなど、もってのほかだ」と袋叩きにあうだろう。そもそも、村八分状態になることは容易に想像できるので、誰一人、このような行動はとらないだろう。