4月15日から16日にかけて発生した、フランスのパリ・ノートルダム大聖堂の不幸な火災の後、数本のコラムをお届けし、大きな反響をいただきました。
6月に入りパリ第四大学パリ・ソルボンヌ、ならびにフランス国立音楽音響研究所の招きでパリにやって来ましたので、仕事帰りに焼け落ちたノートルダムの天蓋を確認してきました。
予想以上にいろいろな意味で酷いことになっていることを知り、ショックを受けています。
ノートルダム大聖堂を巡る近況をパリからお届けしたいと思います。
「透明」になってしまった上層壁
パリ地下鉄、メトロ11番線「ランビュトー」駅の目の前に、かつては「奇抜なデザイン」とされたポンピドーセンターが立っています。
そのはす向かい、地味な建物の地下にフランス国立音楽音響研究所 IRCAMが「埋設」されています。
目の前の地上は「ストラヴィンスキー広場」で、噴水に奇抜な色彩の彫刻が並んでいるのを御覧になった方も多いかと思います。
この「地下」ならびに、ごく穏当な建物の中で仕事を済ませてから、南に数百メートル歩いて下ります。
やがてセーヌ川とその中洲であるシテ島が見え、橋を渡って進んで行くと、今は立ち入り禁止になっているノートルダム大聖堂前の広場に突き当たります。
いきなり目についたのは武装警官でした。数人で、銃を手に隊列をなして歩いています。
持っているのは、銃身の長い機関銃です。
腰にピストルをさしている日本のお巡りさんと違って、片足に重心をかけ、どこか態度の悪そうな姿勢であたりを睥睨していました。
率直に言って気持ちの良いものではありません。
銃口こそ下を向いていますが、相当目つきが悪い。テロの危険性がありますから、仕方ないとは思いますが、ノートルダムの広場も残念なことになったものです。