大韓航空社員ら、経営者一族の退陣要求デモ ナッツ事件と水掛け事件で

韓国の首都ソウルの光化門広場で、大韓航空職員らが実施した経営者一族の追放を求めるデモ(2018年5月4日撮影)。(c)AFP PHOTO / Ed JONES〔AFPBB News

 韓国の公正取引委員会は、毎年、韓国の財閥について発表を行う。

 資産規模が5兆ウォン(1円=10ウォン)のグループを対象に、財務データや「総帥」を公表する。2019年5月15日の最新の発表の最大の特徴は「世代交代」だった。

 韓国経済は財閥主導で成長してきた。経済全体に占める財閥の比重も高い。過度な経済力集中を防ぐために公取委の役割も重要だ。

公取委が総帥を指定

 公取委は毎年春に、財閥の資産規模、負債比率や売上高などのデータを公表する。その中で興味深い項目がある。

 公取委が、各財閥の事実上の「総帥」を韓国でもめったに使わない「同一人」という単語を使って指定するのだ。

 公取委は、資産規模が5兆ウォン以上の企業集団を「公示対象集団」、同10兆ウォンの企業集団を「相互出資制限集団」に指定する。それぞれ、様々な規制を受ける。

 それ以外に、総帥を中心にグループ内の出資形態や取引状況を調査する。総帥自身や家族、親戚が事実上の経営権を握る企業に不当に業務を発注しているかなどを調査して、処分するためだ。

 公取委が指定する総帥は、企業グループが選んだ人物とは異なることもある。

 例えば、ある財閥で父親が息子に「会長」を譲る。社内外では息子が「会長」で総帥を継承したことになるが、公取委は父親をそのまま総帥指定することがある。

 グループの実態からすれば、父親が実権を握っていると判断すれば、公取委はそのままにするのだ。

 つまり公取委の発表は「政府指定総帥」の選任とも言える。

 2019年の発表では、注目できる内容があった。まず、いくつかの財閥で前の総帥が死去し、世代交代が大きく進んだことだ。