今や横審は「諮問機関」ではなく、単なる「外圧機関」へ成り下がっているとも同関係者は嘆く。さらに白鵬1人をここまでコキ下ろす流れについて「明らかに暴走行為で危険だ」と警鐘を鳴らした上で、こう“正論の嵐”をまくし立てた。
「もちろん白鵬には明らかに行き過ぎた面がある。それは否定しない」
ただ、横審の白鵬叩きは間違いなく度を越している。ここまで相撲を冬の時代から支え続け、引っ張り続けてきた大横綱に対して敬意の欠片も感じられない。これは横審の権威そのものが崩壊の一途を辿っている何よりの証拠。かつて連続休場が続いて明らかに猛批判されるべきだった(元横綱の)稀勢の里には見て見ぬふりをし、これでもかと持ち上げていたにもかかわらず、対照的に白鵬ばかりを粗探ししながら徹底的に糾弾する。好き嫌いだけで対応を使い分けしているようでは、もはや諮問機関と言えない。
しかもわれわれを含めた協会と横審は歴代の横綱に対して品格をきちんと教えていたのか。大いに反省しなければいけない。いつも事が起こってから“後出しジャンケン”で白鵬だけに苦言や処分を言い渡しているだけだからだ。大横綱にイチャモンをつけることで『仕事をしている』と世にアピールしたいだけと解釈されても仕方がない。
もし白鵬に問題があるならば、管理不行き届きとして横審と協会の面々も罰せられないと辻褄は合わない。このままでは白鵬だって意固地になるし、同じ事を今後も繰り返すことになると思う」
この関係者は「あくまでも私見だが」と注釈をつけ、横審の白鵬叩きの背景には「モンゴル人横綱に対する人種差別があるのではないか」とも疑っている。聞くところによれば、そのように懐疑的な目を向けている相撲界の有識者たちも少なくないようだ。元横綱の稀勢の里と白鵬に対する酷い“格差”を比較する限り、そう見られても仕方がない。
NHKの優勝力士インタビューだって「神事」ではなかろうに
横審にとっては門外漢の分野になるかもしれないが、仮に白鵬の三本締めを批判したいのであれば、もっと別のところにも目を向けて協会側に働きかけながらメスを入れなければいけないだろう。近年当たり前のように行われているNHKの優勝力士インタビューも、横審がことさら強調する「神事」とはかけ離れており、優勝力士の失言を招きかねないことも考慮すれば、即刻中止すべきかもしれない。先の春場所でも白鵬はもちろん、ご当地出身の豪栄道ら力士に対する“コール”が相変わらず場内に連日響き渡っていたが、これについても「神事」に反する行為として観客に禁止を義務付けたほうがいいだろう。
だが横審はそんな矛盾点には目もくれず、今後も姿勢をあらためようとはするまい。一方で協会内からは「新元号最初となる次の夏場所を機に旧態依然とした横審を一度解散し、良識のある委員を再選考して新しい諮問機関を作り直すべきだ」との意見も飛び出していると聞く。
平成も終わりに近づき、昭和の時代から大きな権限を持っていた横審の求心力が急落の一途を辿っている。ネット上では「老害」とまで揶揄される名ばかりの諮問機関に何らかの大改革を施さなければ、相撲界に新時代からの明るい未来は見えて来ない。