2019年4月12日、大相撲川崎場所での横綱・白鵬(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

 大相撲の横綱白鵬が日本国籍取得に向け、動き出した。モンゴル国籍からの離脱を同国政府に申請。「日本人」になるための準備を進めていることを横綱自身もメディアに対して認めた。

 これまで白鵬は日本国籍を取得しないまま、引退後も現役の四股名を名乗ることができる「一代年寄」の授与を強く希望していた。前人未到の史上最多優勝42回を誇るなど過去の功績を考えれば、大鵬、北の湖、貴乃花に続く史上4人目の授与に異論を唱える人はまずいまい。だが、どうしてもネックとなっていたのが外国人力士である点だった。伝統的に定められているように外国籍のままでは引退後、日本相撲協会に残れず親方になることもできない。これまで前例のない「外国人年寄」の誕生については協会側が頑なに否定していた。

 それでも引退後、白鵬は親方になることを強く望んでいただけに、日本国籍取得の道を歩み始めたのは熟慮した末の結論だったのだろう。

「モンゴル国籍離脱」のニュースでもバッシング

 法的に認められれば、近々にも帰化した白鵬が日本人横綱として土俵に立つことになる。自身が熱望する2020年・東京五輪での土俵入りも、関係者から容認されれば本当に実現することになるかもしれない。そして引退後は幕内優勝20度以上が目安とされる「一代年寄」も晴れて授与され、白鵬親方として後進の指導にあたる可能性が高くなった。

 だが、相変わらず世の中の白鵬バッシングは凄まじい。このモンゴル国籍離脱申請のニュースに関しても、ネット上では「品格のない外国人横綱が日本人になるなんて、おかしい」「あんな下劣な横綱はモンゴル人のままでいい」などといった罵詈雑言が溢れている。これらはあまりにも暴論であり、行き過ぎた意見だと痛切に感じざるを得ない。