なぜそういう違いが出るのでしょうか?

 実は人間は、他人に対してだけでなく、自分に対しても「私はこういうキャラだ」というレッテルを貼ってしまっているのです。ところが、その自己認識は必ずしも正しいわけではありません。それは、「他人にどう見られたいか」という自我が、正しい自己認識を歪めてしまっているからなのです。

 だから、持ち前のキャラを活かせば三枚目のボケ役で人気者になれるのに、心の奥で「二枚目のイケメン俳優と思われたい」という自我があって、ついつい二枚目のイケメン俳優になるための目標や行動計画を立ててしまう。でもその目標や計画は、自分のキャラに合っていないので、結局は挫折してしまい、ほとぼりが冷めたころにまた同じことの繰り返し――という悪循環に陥ってしまうのです。

「タニモク」でブレークスルーのヒントをもらえ

 そこで紹介したいのが「他人に目標をたててもらう」というメソッド、通称「タニモク」という取り組みです。

「タニモク」は、求人メディアの運営や人材サービスを展開する「パーソナルキャリア株式会社が、人生100年時代を自分らしく生きるため、自分以外の視点を取り入れて選択肢を増やし、新しい目標設定を行うという“ライフキュレーション”ワークショップとして定期的に開催し、すでに40回以上開催された大人気の取組みです。実は以前、筆者も同じ取り組みを展開した経験があり、誰でも再現性があり、効果がでる方法です。

 その方法は主として2つの特徴があります。

特徴1:普段接点のない他人同士で、お互いの目標を立てあう
 自分を取り巻く環境や現状を説明し、それを聞いた他人から「自分だったらこうする」という意見をもらうことで、固定概念にとらわれない「目標設定」を行います。

特徴2:説明は基本的に「絵」。文字は極力使わず、対話を促す
 
あえて絵で表現することで、一方的な説明を避け、質疑応答中心の対話形式でワークを進めます。「絵」によって参加者の想像も膨らみ、思わぬアイデアにつながります。

 では実際の「タニモク」の取り組み方を説明しましょう。

 やり方は非常にシンプルです。利害関係のない人(=他人)で4人1組のチームとなり、1人(当事者)が自分の現状を他の3人に説明します。他の3人は自分がその人だったら何をするかを考えて目標を提案する、という30分のセッションをチーム人数分行っていくものです。ワークショップ自体はだいたい3時間程度ですが、内容はシンプルかつ簡単ですから、ワークショップに参加せずとも、誰でもすぐ真似できますし、これが大きな効果を発揮してくれます。

 タニモクには、他のワークショップにない3つのメリットがあります。

1、自分の発想にない選択肢を得られる
2、自分の考えに強烈な後押しをもらえる
3、他人の計画を立てる面白さを感じられる

 タニモクは、参加する人材の業種やスペックにより、出てくる目標も変わりますが、新しい視点で想定外の目標案を提示してもらえるので、ブレークスルーする目標を手に入れられる可能性が高まります。

 例えば、トヨタの人、三菱商事の人、リクルートの人がメンバーであれは、全員違う視点から、あなたの目標案を提示してくれるはずです。メンバー同士は初対面で構いません。というか、むしろその方が好都合でしょう。自分本来のキャラや資質は、無意識のうちに発揮されているからです。逆に変な前提がない分、素に近い、あなたの良さを見出してくれるはずです。

 ノウハウは公式ホームページで無料で公開されています。社外の友人・知人やSNSなどで呼びかけてみて、一度やってみることをお勧めします。
(タニモク公式ホームページ:https://tani-moku.jp/