こんにちは、人事戦略コンサルタントの松本利明です。PwC、マーサー、アクセンチュアなどの外資系大手のコンサルティング会社などで24年以上、人事と働き方の改革を行ってくる中で「おやっ!?」と思えることが実は多く発生してきました。

 実は、世間で言われる「セオリー」の9割が間違っているのです。思ったような効果が出ないのは、計算ミスより計算式そのものが間違っているのです。うすうす、あなたも気づいているのではないでしょうか?

 今回も「働き方改革」のセオリーの落とし穴と、代わりの速くラクに成功するコツについて解説していきます。

強いリーダーは敵も多いが大野君は敵がいない

 堀江貴文さん、ZOZOの前澤友作さん、同社コミュニケーションデザイン室長の田端信太郎さん、キングコングの西野亮廣さんなどは、強いビジョンやオピニオンを提示し続ける今を動かすリーダーであり、ファンも多いのですが、反面、アンチの数も少なくありません。ゆえに、彼らの発言は炎上騒ぎを起こしやすい傾向があります。

 対極的な存在というのが、「2020年末での活動休止」のニュースが日本中を駆け回った嵐のリーダー・大野智君でしょう。彼の「何事にもとらわれず、自由な生活がしてみたい」という提案により、国民的人気グループが活動を休止することになったわけですが、関係者やファンを含めれば大勢の人間が関わる「ビッグプロジェクト」を一人の人間の決断によって停止させることになってしまったわけです。しかし、彼の言動を否定する意見は、嵐のメンバー内からはもちろん、社会からも、びっくりするほど聞こえてきません。これはどう理解したらよいのでしょう。

 大野君は、ぐいぐい引っ張る従来型のリーダーではありません。かといって、「名前だけのリーダー」でもありません。そこに秘密があるのです。意識的か無意識的かは分かりませんが、大野君のリーダーシップこそが、これからの時代のリーダー像を示しているのです。早速解説してみましょう。

挑戦するには安全が必要

 チームを引っ張るリーダーは、メンバーに向けて「チャレンジしよう! リスクを恐れずいこう!」と気持ちを鼓舞することが多いと思います。

 ところが、そんなリーダーの大半は「うちのメンバーは挑戦しない」と嘆いています。多くの人たちは別にチャレンジしたくないわけではありません。挑戦しない理由は、チャレンジに必要な要素が用意されていないからなのです。だからメンバーは動けないのです。