コーヒーや各種お茶に含まれる「カフェイン」の作用に光を当てている。話を聞いているのは、カフェインの作用について研究し、『カフェインの科学』などの著書も出す元東京福祉大学教授の栗原久氏。前篇では、カフェインの持つパフォーマンス向上、気管支拡張、強心や利尿などのさまざまな作用について知った。ただし、これらの作用はさほど強くないため、乱用薬物とは一線を画し、長く嗜好品の材料でありつづけてきたのだ。
後篇では、引き続き栗原氏に、より具体的にカフェインとの賢いつきあい方についてアドバイスを受けてみる。アルコールとの組み合わせは、それぞれを摂取するタイミング次第で、避けたほうがよい場合と、有効な場合があるようだ。
作用のピークは摂取30分後
――カフェインが体に作用するタイミングは、コーヒーなどを飲んだ後どのくらいでしょうか。
栗原久氏(以下、敬称略) カフェインの作用のピークは摂取30分後ぐらいに来ます。カフェインが摂取したときに通っていく口、食道、胃などはまだ“体の外”といえます。血液やリンパ液に入って、はじめて体内に取り込まれ、作用しはじめるのです。
ピーク後は徐々に代謝されていき、作用も弱まっていきます。3~4時間後にはカフェインの血中濃度はピークの半分まで減ります。
――作用が強く感じられるのはどの段階でしょうか。
栗原 カフェインを含む、脳に作用する薬物の作用の特徴として、血中濃度が上がっているとき、つまりピークに向かっているときに強く感じられるということがあります。つまり、カフェインが体内に取り込まれてから摂取30分後までの時間は特に作用が強く感じられ、その後、弱まっていきます。カフェインの血中濃度が同じであっても、ピーク前のほうがピーク後よりも作用を強く感じることになります。