――アルコール摂取から少し間を置いてカフェインを摂取するのはどうですか。飲んでしまったが、すぐ酔いを覚ましたいのでコーヒーを飲むという人もいる気がします。

栗原 これは、悪酔い、とくに吐き気が悪化してしまうおそれがあります。

 アルコールが代謝されるときには、体内でアセトアルデヒドができて頭痛や吐き気をもたらします。このときの頭痛は、脳の血管が収縮することで生じる「ジーン」と締めつけられる型のものです。ただし、アルコールの作用でかなり打ち消されます。

 そうした中でカフェインを摂取すると、前篇でもお話ししたように、脳の血管を収縮させる作用が生じます。頭痛がアルコール単独より強まる方向に行くわけです。

 さらに、カフェインとアセトアルデヒドはともに延髄を刺激する作用があり、アセトアルデヒドによる嘔吐中枢の興奮が強まって、吐き気の増強につながります。

――お酒を飲んだ翌朝のカフェイン摂取はどうですか。「二日酔いにコーヒー」を試す人もいますが・・・。

栗原 これについては多少は有効といえます。まず、二日酔いのときは脱水状態になっていることが多いので、水分を摂取すること自体が症状の改善にプラスとなります。それとともに、縮んでいた血管が逆に広がろうとして「ズキズキ」型の頭痛が生じることがありますが、カフェインが脳の血管を縮めようとするので、打ち消すことになります。また、カフェインはパフォーマンスの低下を抑えもします。

 翌朝のカフェイン摂取は、同時や、アルコール摂取直後より多少は有効といえます。ただし、過信してどんどん飲んでよいなどと考えるのはよくありませんが。