効果を得るための「借金」は「完済」すべし

――カフェインが含まれる飲みものとして「エナジードリンク」もあります。過剰摂取の危険性も伝えられますが、どう考えたらよいでしょうか。

品別のカフェイン含有量。代表的なもの。 ※ココアについては、テオブロミンというアルカロイドの効果をカフェインに換算した値。(栗原氏の論文「日常生活の中におけるカフェイン摂取 作用機序と安全性評価」を参考に筆者作成)
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栗原 まず「死ぬかどうか」という意味での危険性について言えば、その危険性は低いです。カフェインの致死量は5〜10gとされており、エナジードリンクでは種類にもよりますが、500mLで30本分以上に当たります。コーヒーでしたら、およそ70杯分です。これらを一気に飲むということは通常は考えづらいものです。

――他に、カフェイン摂取で注意すべきことはいかがですか。

栗原 摂取が定常化してしまうと、逆にカフェインが身体に入っていないときに集中力が欠けたり、事故を起こしたりといった危険はあるかもしれません。

 かつては、眠気などでパフォーマンスが下がったら、コーヒーやお茶などを淹れて、それを防ぐということが中心でした。しかし、カフェイン入り飲料は自動販売機ですぐに買える摂取しやすいものとなっています。パフォーマンス向上を定常化しやすい状況といえます。

 けれども、あくまでそれは一時的に得られる効果です。借りて得たお金のようなものなので、返さなければなりません。

 カフェインを摂りつづけている状態は、返すお金をまた他から借りているようなものです。あとで疲労や眠気などの影響が出やすくなります。また、若干ですが耐性がついて、カフェインの作用が薄れてくると頭が痛くなるといった状態になることもあります。