日本の大学生は圧倒的に勉強量が足りない

 このところ大手有名企業が大学1、2年生向けの教育プログラムを打ち出している。今回、P&Gジャパンが開催したビジネスコンテスト「マーケッターズ・ハイ2019」もその1つだ。その状況については既に第1回で伝えた。

 P&Gジャパンではこのイベントを開催するにあたり、主な対象を大学1、2年生としていた。そのため1、2年生の参加が全体の約6割を占めたという。結果としては就活を経験した4年生に一日の長があったようだ。

 企業はこれまでインターンシップを通じて学生に就業体験を提供してきた。その対象は3、4年生が中心で、しかも実質的に採用活動の一環として行われている。

 経団連が就活ルールを廃止したタイミングで、企業がこうした教育プログラムを行ったことから、いよいよ企業が1、2年生を採用のターゲットにし始めたかのように見える。

 P&Gジャパンでは自社初となるこのイベント開催の目的をあくまで「グローバルに活躍する人材の育成を目的とした学びの機会を提供するプログラム」とし、採用選考とは無関係だと強調するが、本当にそうなのだろうか。

P&Gジャパン執行役員の松浦香織氏

 今回のイベントを統括するP&Gジャパンの松浦執行役員に尋ねたところ、日本の大学生は海外の学生に比べ、圧倒的に勉強量が足りないことへの危惧が動機にあるという。

 「貴重な大学時代の4年間を日本の学生さんたちが生かし切れているのか、ということなんです」

 「私は大学時代に日本とアメリカの両方の大学で学びましたが、アメリカではたった1つの単位を取るにも、倒れるほど勉強させられます」

 「一方、日本の場合はテストの点をクリアすれば単位がもらえるうえに、授業も1人の先生に数百人の学生という講義形式が一般的。必然的に学業の優先順位は下がってしまいますよね」

 「そこで入学して間もない1、2年生の学生さんに、このビジネスコンテストを通じていろいろな気づきを得てもらうことによって、残りの学生生活を目的意識を持って勉強したり、チャレンジしたりするきっかけにしてもらいたい、というのが本当の目的です」

 松浦氏は大学生にもっと大学で勉強してもらうきっかけにしてもらいたいという。大学の教育内容に不満があるのではないか、というこちらの予想とは正反対だった。