ただし、今回は難敵に立ち向かう最初の挑戦だ。安全性を重視して、何かあれば即座にアボートするように設計している。例えば、姿勢を変更する時間は限られており、想定していた地形の凸凹具合と違ったらアボートするという判断も、厳しめに設定したものだという。
そのため、今回の着陸では、アボートする可能性は低くはないとみられる。もし、条件設定が厳しすぎたという理由でアボートしたことが判明した場合には、最速で3月4日の週に再挑戦するそうだ。
初代小惑星探査機はやぶさのタッチダウンから約14年。「(はやぶさが切り拓いた)小天体科学はずいぶん進展した」と、はやぶさ2ミッションマネジャーの吉川真氏は語る。一方、「工学的には、日本が2度、小天体からのサンプルリターンを実現できれば技術として本物と言える」(久保田氏)。
これまでに、はやぶさ2は、ミネルバⅡ1、マスコットなど、重力が小さい場所で移動する技術を成功させた。JAXAは現在、火星の衛星からのサンプルリターンミッション「MMX」を検討中だが、協力したいという話も海外からあるという。技術力の高さを国際的にアピールすることが将来のミッションにつながる。
【参考】世界初! 小天体上でホップし撮影するミネルバⅡ
(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54209)
さらに現在は、国際的な月や火星ミッションで、狙った場所に精度高く降りられる「ピンポイント探査」が要求されている。「今回の、画像を使ったピンポイントな航法誘導は、最先端技術。小惑星だけでなく、月や火星など他の天体の探査にもつなげて行きたい」と久保田氏は抱負を語る。
将来のミッションに向けて期待は高まるが、そのためにも、まずはリュウグウへの着陸成功が肝となる。「リュウグウの素性をきちんと知り、立ち向かうための計画を立てた。絶対に成功させたいと思っているが、気合や意気込みだけでは実現できない。想いは熱いまま、クールに。攻略方法に沿って間違いなく運用を遂行したい」(津田プロマネ)。
何が起こるのが分からないのが惑星探査。22日の着陸本番は、6時45分からJAXAテレビ(http://fanfun.jaxa.jp/jaxatv/detail/14034.html)でネット中継される予定だ。3億km彼方の甲子園球場のマウンドに降り立つはやぶさ2に注目しよう。