一連の動きの中で、今回のピンポイントタッチダウンの鍵となるのは(3)だ。ターゲットマーカーは着陸目標地点中心から約4m離れているため、そのままターゲットマーカーを目印に着陸すれば目標地点からずれてしまう。そこで着陸地点に向けて探査機を水平移動させるのだ。移動中も探査機のカメラの視野の端にターゲットマーカーを捉えておく。(4)の自由落下を始めると、ターゲットマーカーが見えなくなる。

【動画:画像をクリックして再生】 JAXA作成のタッチダウン直前の探査機の動き。(提供:JAXA)

 津田プロマネは「4つあるチェックポイントを探査機が自分で合否判定し、合格にならないと次の手順に進まないように設定した。リュウグウの地形や探査機の知識をもとに、絶対に次に進むように設計したが、探査機を信じるところと、『本当にその通り動いてくれるのだろうか』という技術者として疑いを持つ部分がある。当日はチェックポイントをちゃんと進んでくれるか現場でドキドキしながら見ていると思う」と語る。

成否が分かるのは、いつ?

3000分の41のリュウグウ表面の模型。岩だらけのリュウグウ表面を赤く囲まれたエリアを目指し、はやぶさ2は着陸する。赤い点はターゲットマーカーの位置。

 タッチダウンは現在のところ、22日8時6分に行われる予定だ。その情報が地上に届くのは8時25分ごろ。ただ、その時点では、速度変化などの限られた情報しか分からない。

 探査機から詳細なデータが送られてくるのは8時44分以降。着地したのか、探査機から弾丸の発射指令が出たのか、探査機の状態が健全なのかなどは、そこから約30分後の9時過ぎに判明する見込みだ。弾丸が実際に発射されたかの確認は、状況証拠を集める必要があるので、さらに数日を要するという。

 JAXA宇宙科学研究所研究総主幹、久保田孝さんによると、ミッションの成功基準は、はやぶさ2探査機が正常であること、予定のシーケンス(移動、着陸、弾丸発射、浮上など)をすべてクリアすること。万が一、目標地点から少し外れた地点に着地したとしても、探査機が正常に戻ってくれば成功とみなすそうだ。