©2018「ねことじいちゃん」製作委員会

 空前の猫ブームである。テレビをつければ、猫のCMスターだらけ、SNSを開けば、必ず誰かが飼い猫自慢。通勤電車では猫動画にニマニマしている人がちらほら。猫も杓子も猫な世の中。猫の経済効果、ネコノミクスもまだまだ勢いがある。映画界も猫映画が続々、公開中である。

 愛猫との最後の旅を描いた感動作『旅猫レポート』、人間が猫に扮した異色作『猫は抱くもの』や『トラさん~僕が猫になったワケ~』、イギリス発ホームレスを救った猫がなんと本人(本猫?)役で登場している『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』など、去年から今年にかけてだけでも、いろんなタイプの猫映画が登場。『ボヘミアン・ラプソディ』だって、あんなに猫が登場していなかったら、あそこまでヒットしていたかどうかといったら言い過ぎか。ハリウッドではミュージカル『キャッツ』が映画化され、今年の年末、公開だという。そんな数ある猫を題材にした映画とは一線を画す、本命の猫映画がこれから公開される『ねことじいちゃん』である。

©2018「ねことじいちゃん」製作委員会

猫写真の巨匠だから撮れた、猫の堂々たる「演技」

 本当に猫好きな人たちのための画期的な映画。それが『ねことじいちゃん』。動物写真家の岩合光昭の監督デビュー作にあたる。岩合といえば、世界各地のネコを撮影したドキュメンタリー番組「岩合光昭の世界ネコ歩き」が有名。「~ネコ歩き」は放送だけに留まらず、各地での写真展の開催や写真集の発売、さらには再編集された映画版が劇場公開されるなど、ネコノミクスをけん引している超人気番組だ。猫好きの間で知らない人がいない、神のような存在の岩合が今回、初めてフィクションの世界に挑んだ。ちなみにすっかり「猫の人」というイメージの岩合だが、本来は日本人で初めて「ナショナルジオグラフィック」の表紙を2度も飾るなど、世界的な動物写真家。映画にはフィクションの監督では撮れなかった貴重な画がいっぱい詰まっているのが特徴的だ。