中国の宣伝に踊ったルーズベルト大統領

(1)フレデリック・ウイリアムズの忠告

 ウイリアムズは少年時代に外人部隊に所属し、その後は世界各地を放浪する冒険者的生活を続け、新聞で発表していた経験からジャーナリストになる。

 支那事変前の日本軍と中国軍にも従軍して取材し、正義感はどちらが持ち合わせているか、また共産主義の危険性などを警告する。日米と米中の貿易についても商務省統計を使って事実を明かす。

 「西洋諸国はアンチジャパンで、(中略)日本が負けたら、ソビエトがあらゆる国を中国貿易から締め出し、共産主義の垂れ幕の下に宝の山を運び入れるだろうという事実を彼らは考慮に入れない」

 「ロシアの脅しが聞こえている。いままさに行動に移ろうとしている。日本はいまにも世界のパワーになろうとしているソビエトを阻止しようと一人で戦っている」

 「我々が日本に1ドルを支払うごとに、彼らは20ドルをアメリカに支払っている。日本は1937年では、アメリカから41%以上を買っている」

 また、1936年と37年の米国の対日中貿易額の細部にわたる統計資料(36年:対日出超額3179万1000ドル 対中入超額2681万7000ドル、37年:対日出超額8417万6000ドル 対中入超額5391万9000ドル)から、両年で対日出超額は5238万5000ドルの164%増加に対し、対中入超額が2710万2000ドル、10%増加を示す。

 そして、「日本は西洋の工場で生産された農業機械類、鉄道資材など、無数のものを必要とした。(中略)アメリカ人が目覚め、外国のプロパガンダの手先になることをやめれば、このビジネスに参加できる」と、真実に目覚めるよう訴える。

 蒋介石のプロパガンダについては「かつてなかったほど沢山の偽物写真がアメリカの新聞雑誌にこっそりと挿入されている。彼らは次々と人々に恐怖を起させようと、実にタイミングよくリリースしていった」として、上海の爆撃で破壊された廃墟で泣き叫ぶ赤ん坊の写真を例示する。

 「世界中に配布されているから、偽物だと論破するにはもう遅い。(中略)『無法行為』をしでかした『非人間的な日本人』への反感から、義憤が立ち上がってきた。このような写真は沢山ある。・・・そして日本の敵には大変な名声を博している」

 「没落し行く紹介石政府は絶望したあげく、アメリカ人が結果として干渉してくることを期待して、まず同情を、それから援助を獲得しようとして宣教師たちにすがり寄った」

 「宣教師がやろうとしたのは、アメリカ人からの寄付であった。(中略)彼らは軍閥の支配体制、泥棒性、いかさま性、不信性、道徳的堕落、野蛮性、ふしだら、賄賂といったことには言及しない」

 「これらは役人にも大衆にも共通する中国人の日常生活である。彼らは『素晴らしい』ところ、哀れを誘うところ、同情を喚起するところしか言わないのだ」

 「中国人は善意で貧しくて、西洋世界とキリスト教が彼らに与えられるものを評価し、あこがれていると」