3.来年の経済政策運営の舵取りは特に難しい

 このように、来年の中国経済を展望すると、改革推進に伴う副作用が引き続き地方財政や民間企業、特に中小企業にマイナスの影響を及ぼすことが懸念される。

 加えて、米中貿易摩擦については、米中両国がこのまま平行線を辿り、米国による経済制裁が予定通り発動されることになると、そのマイナスの影響も加わる。

 トランプ政権が中国に対して今後どのような対応をとるかは誰も予測することができず、その影響の大きさを事前に予想することはできない。

 これら2つの要因によるマクロ経済に対するマイナスの影響をある程度相殺するため、中国政府は財政・金融政策両面からの景気刺激策を実施し、マクロ経済全体の安定確保を図ることを目指す。

 その政策運営は米国トランプ政権がもたらす不確定要素や改革推進の力加減によるマイナスインパクトの変化なども考慮しながら、マクロ経済全体のバランスを確保しなければならないため、その微妙な調整は非常に難しいものとなることが予想されている。

 ただし、2020年までの経済政策運営において最重要課題は改革推進であることは中央政府内のマクロ経済政策関係部門のコンセンサスである。

 このため、必要以上に景気を刺激する過剰な財政・金融政策は採用しない方針が政府内部で確認されている。

 これは改革推進に力点を置きながらマクロ経済政策全体を運営するうえで非常に的確な判断である。