アルジェリアの首都アルジェ(資料写真)

 米WTI原油先物価格は、主要産油国が増産の決定を見送ったことで2カ月ぶりの高値で推移している(1バレル=72ドル台)。

 主要産油国による「共同閣僚監視委員会」(JMMC)は昨年(2017年)1月の協調減産の開始以降、1~2カ月に1回のペースで開催されている。9月23日にアルジェリアで開かれたJMMCには、市場の注目が集まっていた。それはトランプ大統領のツイートのおかげである。トランプ大統領は20日、「米国は中東諸国を守っており、我々なしでは同地域は長い間安全ではいられない。それにもかかわらず原油価格をますます引き上げている。独占OPECは原油価格をすぐに引き下げるべきだ」とツイートした。このツイートにより、「23日のJMMCで主要産油国は日量50万バレル程度の増産の決定を行うのではないか」との噂が広がっていたのだ。

 だが事前の予想に反し主要産油国は増産を見送ったため、「原油需給の逼迫が続く」との観測が強まり、市場は強気の見方が優勢となっている。

増産を見送った主要産油国の胸の内

 なぜJMMCで増産は見送られたのか。主要産油国の胸の内を見てみたい。

 サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は9月23日に記者団に対し「我が国には日量150万バレルの増産余力があるものの、非加盟国の増産が世界の需要の伸びを上回ることが見込まれているため、現時点で増産の必要性はない。必要な原油を入手できない状況にある石油会社を私を知らない」と述べた。

 OPEC事務局は23日、「2019年は米国など非OPEC産油国の生産量が日量240万バレル増加する一方、世界の需要の伸びは日量150万バレルにとどまる」との予測を示している。

 ロシアのノヴァク・エネルギー相も「原油需要は今年第4四半期と来年第1四半期に減少することから、現時点で主要産油国は6月の合意(協調減産合意以上の規模に達していた減産量を目標水準に戻す)を維持することを決定した」と説明した。ノヴァク・エネルギー相は18日、「原油価格の上昇は制裁を反映した一時的な現象であり、長期的な価格は1バレル=50ドル付近である」との見解を示していた。