ブレーザーとは

1. 遠方の銀河内の超巨大ブラックホールで、
2. 「ジェット」と呼ばれる、光速に近い速度のプラズマ噴射を持ち、
3. そのジェットがこちらを向いている
 

ものを「ブレーザー」といいます。大変特殊な天体ですが、なにしろ宇宙は広いので、これまで数千個のブレーザーが見つかっています。

 超巨大ブラックホールに恒星などが呑み込まれる時には、恒星がぐちゃぐちゃに壊されて熱せられ、その物質の一部がジェットとなって吹き飛ばされます。

 そして、その光速近いジェットを真正面から覗き込むと、相対論効果によって、ジェットからの放射が強調されて観測されます。救急車のサイレン音が大きくなるドップラー効果の宇宙版です。

 今回の結果が示唆するように、もしも超高エネルギーのジェット噴流の中で、何らかの機構によりニュートリノが作られたならば、そのエネルギーも相対論効果で強調されて観測されます。290TeVという超高エネルギーはそうして説明できると思われます。

 この解釈が正しいかどうかは、今後ニュートリノ天体の観測例が続々と集まることによって、検証されるでしょう。

 それにしても、普段全く気づかれずに私たちの体を通過しまくっているニュートリノを、南極に設置された奇妙な装置で捕まえることができて、すると遠方銀河の超巨大ブラックホールが見えちゃったとは、何だか途方もなくてわくわくする話じゃないですか。