大豆を通して米中貿易戦争の行方を占うと?(写真はイメージ)

 米国と中国の貿易戦争が激化している。それに関連して、大豆貿易について書いてみたい。

 日本人は世界の食料事情について、農水省や農学部の先生から誤った情報を聞かされ続けてきた。彼らは、食料を輸出している国が干ばつなどによる不作や政治的な理由によって食料を輸出しなくなる事態を語っていた。日本は多くの食料を輸入している。食料を輸出している国が食料を輸出してくれなくなると飢えてしまう。だから、食料自給率を高めなければならない──。皆さんはこんな話を聞かされてきたはずだ。

輸入国が輸出国を恫喝している

 しかし、その延長上で今回の米中貿易戦争を理解することはできない。

 図1に中国の大豆の自給率を示す。現在、中国は8000万トンを超える大豆を輸入しており、自給率は12%にまで低下している。わが国の食料自給率はカロリーベースで約4割だから、個別品目とは言っても中国の大豆自給率は極端に低い。

図1 中国の大豆自給率(データ:FAO)

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