上級専門家評議会議長のダイム元財務相も「1000億リンギを超える可能性がある」と批判している。
また、他の諸国の一帯一路と同様、建設会社は中国交通建設などで、「ネジの一つひとつ」の資材にとどまらず、労働者も100%近くを中国からマレーシアに投入され、雇用創出や経済活性化にはならないことも指摘。
マレーシアに利益はないどころか、“在外中国共和国”に利益がもたらされる仕組みだ。
4月中旬、マレーシアのECRLなど一帯一路プロジェクトで低融資を行う中国輸出入銀行の前社長の李若谷氏は中国・広州で開催の経済会議で、「一帯一路に関わる多くの国はプロジェクトの費用を捻出できず、財政が負債過多に陥っている国」と指摘。
マレーシアの場合も、マハティール新首相が中国の一帯一路を見直す理由の1つは、一帯一路のプロジェクトが、ナジブ前首相の政府系ファンド「1MDB」の巨額債務を救済するために始まったことにある。
借金返済を目論むナジブ前首相と習国家主席の間で「利害を一致」させ、一帯一路を通じ、チャイナマネーが大量流入してきた背景だ。
さらにマハティール新首相は、一帯一路のインフラ整備に伴い中国政府から巨額の債務を抱え財政難にあえぐ他のアジア諸国の同じ徹を踏まないと誓っている。
なぜならば、中国マネーの流入は国内政策に悪影響を与え、中国経済への依存は、南シナ海を含め、国や地域の安全保障にも大きな影をもたらすことにもなるからだ。
スリランカの場合、一帯一路計画で、債務の返済に苦労し、99年契約でハンバントタ港の権利を中国国有企業に譲渡した。
今年4月には、かつてはスリランカの港湾当局の建物だったが、そこに中国国旗が掲げられたと地元メディアが報道している。
米国の外交政策評議会(アジア安全保障)のジェフ・スミス氏は次のように一帯一路の問題点を指摘する。