文中敬称略
「本選挙は、不正、不公正、不公平が全くない“自由でクリーン”なものになるだろう」と選挙戦真っ只中の政治集会でマレーシアの首相、ナジブは強調する。
1957年の独立以来、初の政権交代で注目されるマレーシアの総選挙(5年に1回。下院定数222、5月9日投開票)まで1週間を切り、元首相のマハティール率いる野党連合が猛追する中、与野党の白熱した選挙戦が展開されている。
与党は、歴史的な敗北を喫した2008年、史上最低の議席数に甘んじた(得票数では野党に屈した)2013年と、政治腐敗や汚職疑惑で求心力と支持率を失ってきた。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52715(マレーシアの総選挙に中国の影 民主化遠く)、http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52946(昭恵夫人も顔負け マレーシアの超弩級暴走妻)
政権交代は今回が最後のチャンス
しかし、苦戦を強いられながらも、ありとあらゆる手段を講じ、選挙攻略を図り、辛うじて、政権を維持してきた。
どの世界でも政治は汚い。
政府系投資会社「1MDB」の不正公金流用疑惑の国際的マネーロンダリングスキャンダルに加え、3年前導入のGST(消費税)による物価高騰で、支持基盤である多数派のマレー系にも政府への不満があふれ出している。
そんな状況にソーシャルメディアも後押しする本選挙では、内外の専門家が「政権交代は今回が最大で最後のチャンスだろう」と注目する。
しかし、東南アジア諸国連合の優等生と言われ、域内の経済を牽引してきた近代国家マレーシアで起きていることは信じがたい、の一言だ。
下院解散後の4月、マレーシアの選挙管理委員会は、自由でクリーンな選挙を図るため国際的監視団を諸外国に要請した。