具体的には、主に次の2つの課題を解決することが必要だという。

(1)情報共有の課題(不在になる社員と情報を共有するのが難しい)
(2)マネジメントの課題(上司が部下の業務を把握していない)
 

 (1)情報共有の課題に対しては、ITツールの活用が解決策の1つとなる。「今は、グループウエアや社内SNSなど、さまざま情報共有ツールがあります。上手に活用することで、社内コミュニケーションを促したり、その人がいないと仕事が進まない状態(属人化)を改善したりすることができます。さらにCRM(Customer Relationship Management、顧客関係管理)システムなどを利用して、お客様へのサービスレベルを向上させることもできます」(同氏)

 (2)マネジメントの課題は、一朝一夕ではいかないものの、だからこそ経営者の努力が必要だという。「上司が部下の業務量を把握し調整しなければ、持ち帰り仕事をするような事態も起きてしまいます。時間が制約されているからこそ、適切な評価も大事です。管理職は、野球でいえば監督のようなもの。チームが最大の成果を上げるために、もっと『マネジメント』に時間を割ける環境づくりを経営者がしてほしいと思います」(同氏)。

正社員のあり方に一石を投じたい

 労働日数を限定するだけとも見える「週4正社員」制度だが、その実現に向けて検討する過程で、多くの日本企業が抱えるさまざまな問題に向き合うきっかけになりそうだ。また、働き方の選択肢が増えることは、働き手にとってプラスなことは間違いないだろう。

 安中氏は「週4正社員」制度を推奨する思いを次のように語る。

「働く人みんながその人の『らしさ』を生かして、活躍できる世の中になればいいなと思っています。『週4正社員』制度はそのための取り組みの1つです。導入するには課題が多くある制度かもしれませんが、会社に身を捧げ命を削るような働き方、長時間労働が常態となっている正社員のあり方に一石を投じる思いで、これからも勧めていきたいです」

「週4正社員」のような柔軟な枠組みとともに「新しい働き方」の広がりに期待したい。