ただし、週の所定労働時間を通常の正社員と同じ(たとえば週40時間勤務)としたままで、週4日とする企業もあるという(その場合、週5正社員の1日8時間勤務に対し、週4正社員は1日10時間勤務)。「一口に『週4正社員』といっても、さまざまな形があります。制度として導入する際は、それぞれの職場の実態・課題・目的に合わせて、デザインすることができます」(同氏)。

企業にとってもメリットが多い「週4正社員」制度

「週4正社員」制度のメリットは、実は働く側にも企業側にとっても多い。まず、働く側のメリットは想像がつきやすいだろう。たとえば次のようなものだ。

ワークライフバランスをとりやすい
ムリなく長く働き続けられる
空いた時間を自己研鑽にあてられる
(会社が認めれば)副業も可能
 

「育児や家族介護を担っている社員は、実態は『週7日労働』しているようなものです。平日は会社、週末は家族のため働く社員が、ほっと一息できる『+1日の自由時間』を確保できるのは大きいと思います」(同氏)

 一方、企業の側にも、主に次のようなメリットが得られるという。

優秀な人材が確保できる(採用に有利)
家庭の事情を抱える場合も長く働いてもらえる(離職率の低下)
(時間制約を前提とした組織運営の工夫によって)生産性が向上する
 

 特に人手不足の昨今、採用面での強みや離職率の低下は、経営者にとって魅力的に映るはずだ。このようなメリットに加え、(無限定で働くいわゆる一般の)正社員でもパートタイマーでもない、「第三の区分」としての「週4正社員」が果たす役割は大きいと、安中氏は指摘する。

「週4正社員は、一般の正社員が短時間勤務をしたい場合の選択肢になるとともに、パートタイマーが正社員を目指す際の選択肢にもなります。いきなりフルタイム正社員はハードルが高いけれどもキャリアップを目指したい、という人にとって選択しやすい働き方だからです。企業にとっても、二極化している雇用形態の間を橋渡しする区分として活用しやすいと言えます」

 実際、優秀なパートタイマーを社員に登用するために、勤務時間を限定した正社員制度を導入している企業の事例が多くあるという。

制度導入の最大の障壁は、サービス残業問題

 さて、こうして「週4正社員」制度のメリットを見てくると、すぐにでも自社に導入してほしい(導入したい)! と思われる方も多いかもしれない。しかし、しっかりと準備して臨まないと「週4正社員」制度は頓挫する。一体どんな準備が必要なのだろうか。