パスタやカレーを自炊し、食生活に自信があったつもりだが・・・(写真はイメージ)

 味の付いた焼き魚にお醤油をドバッとかけてしまう、朝食を食べない、野菜が嫌い・・・塩分、糖分、脂肪分に気を付けている人は増えているのかもしれないが、それがもし「つもり」なだけだとしたら。

 無意識のうちにやってしまっているような悪習慣や、単純なカロリー計算だけではない食事の考え方について、管理栄養士・料理研究家の岩﨑啓子氏に伺った。

塩分、糖分、脂肪分をトータルで抑えつつ、栄養は減らさない

料理研究家・管理栄養士。料理研究家のアシスタント、保健所での栄養指導などを経て独立。栄養バランスを考えた手軽で美味しい料理を提案する。『ゆる「糖質&塩分」オフ! おつまみおかず』(日本文芸社)、『サラダ漬けですぐ野菜おかず』(河出書房新社)など著書多数

 トリプルリスクとは、生活習慣病の要因である高血圧、高血糖、高血中脂質から引き起こされる血管リスクのことだ。

 塩分、糖分、脂肪分の摂り過ぎにより高血圧や糖尿病、高脂血症になるだけでなく、1つ2つと重なることで動脈硬化により狭心症や心筋梗塞などのリスクが最大35.8倍(※)にも達する。つまりどれか1つではなく、塩分、糖分、脂肪分の3つを同時にケアしていく必要があるのだ。

 理想は程よい運動と正しい食生活から。しかし「正しい食生活」とは何なのか。

 岩﨑氏は栄養学の立場から、厚生労働省の1日の栄養基準を推奨しているという。最近ブームになっている糖質オフの食事方法についてぶつけた。

 「科学的にみて根本的なメカニズムは、まだ誰も分かっていません。糖質は1日50グラムが適量、100グラムが好ましいなどと、さまざまな考え方や主張があります。しかし明らかな食べ過ぎの場合や病気の場合を除き、脳の栄養源でもある糖質を完全にオフにしてしまうのは、私はオススメしません。適量を食べた方がいいでしょう」

 巷に流布しているこれらの情報は、いずれも摂り過ぎたら体に悪いことは自明で、程度問題なのだ。酸素ですら、体内に活性酸素が増えすぎると体に悪いのだから。

 「たんぱく質と炭水化物、脂肪分をバランスよく食べながら、塩分や糖分、脂肪分をトータルで控えつつ栄養は減らさないというのが、私の基本的な考え方です」(岩﨑氏)

※2001年労働省作業関連疾患統合対策研究班

「気を付けているつもり」アラフォー男の自炊メニュー

 筆者は現在、フリーランスのアラフォー独身男性である。会社員時代は昼と夜に外食の生活をしていた反省から、今は意識的に毎日、自炊をしている。その内容にも自信があったので、岩﨑氏に1週間の食事メニューを堂々と見てもらった。ところが・・・「全然ダメですね」とバッサリ。

 どこがダメだったのか。具体的に読者の皆さんの参考になる部分を中心に紹介していこう。