見た目はやせても脂肪は多い?(写真はイメージ)

 30代を半ば以降、健康診断の結果を気にしてきた方も多いだろう。

 特に血管に関わる高血圧、高血糖、高血中脂質。これらの「どれか高い数値の結果だけ」を気にしてしまうことは、健康を考える上で実は大きな問題がある。その理由は、リスク連鎖に共通の原因「インスリンの抵抗性」で説明することができるのだという。

 そのメカニズムはどうなっているのか。食事ケアと併せて紹介しよう。

内臓脂肪が蓄積した「隠れ肥満」のリスク

 高血圧、高血糖、高血中脂質の3大血管リスクは、1つでも悪い数値が出ると、その他の数値にも連鎖するリスクがあると言われている。最近ではそれを“トリプルリスク”と呼び、実際に糖尿病患者の方の高血圧の合併率は約70%、高中性脂肪の合併率は約40%にも及ぶ(※1)。

 リスクが連鎖するのはなぜか。それは、血圧、血糖、血中脂肪の数字が悪化する原因が、共通だからだ。その根本は、インスリンの働きが悪くなることにある。

 インスリンとは、血液中のブドウ糖(体内で消費されるエネルギー源)の濃度=血糖値を一定に保つ働きをし、量を調整している。そのインスリンが、過食や運動不足で“内臓脂肪が蓄積された状態”になることによって、働きにくくなってしまうのだ。

 ちなみにこの“内臓脂肪が蓄積された状態”はいわゆる隠れ肥満の状態も含むため、見た目には現れないこともあることがポイント。太っていなければ安心というわけではないことに留意されたい。

 内臓脂肪の蓄積により、アディポネクチンという「長寿ホルモン」とも呼ばれるホルモンの分泌が低下し、インスリン抵抗性=インスリンが効かない状態、が高まる。それにより、糖尿病の原因になる高血糖ばかりか、腎臓や肝臓への影響で、血圧や中性脂肪の代謝にも影響を及ぼしてしまうと考えられている。

どれか1つの数値が高いということは、他の数値にも影響を与えるインスリンの効きが悪くなっている状態に(トリプルリスク啓発 キックオフイベントより)

 これが、1つのリスクが他のリスク要因にもなりうると言われる理由だ。

 さらに運動不足や過食とともにこれらのリスクが連鎖して重なると、動脈硬化を引き起こし、狭心症や心筋梗塞を引き起こすリスクが、リスク因子1倍の人に比べて最大で35.8倍も増大する※2。

 このため、糖質制限をするなど1つの因子に気を配るだけでなく、塩分や脂肪分の採り過ぎにも同時に気を配る必要があるのだ。

健康診断では拾えない早朝の高血圧、食後の高血糖

 健康診断の数値だけを過信することもできない。なぜならば健康診断とはいわば、前日の夕飯を食べない、飲酒しないなど「ベストの状態」で診断されているからだ。

 食後だけ血糖値が上昇する食後高血糖、早朝だけ血圧の高い早朝高血圧など、健康診断の結果だけでは拾えない隠れ「高血糖・高血圧・高血中脂質」の予備軍の多さも、最近では指摘されている。

健康診断の結果が良い=健康とは限らない(写真はイメージ)