銃規制を求めて首都ワシントンでデモ行進する人たち(筆者撮影)

 銃規制のデモ行進は本当に銃規制につながるのか――。

 米首都ワシントンで3月24日に行われたデモに参加し、政治的な意義を探った。実際にデモの中で演説を聞き、参加者と話をすると、日本で見聞きする以上に高校や大学では銃による事件への危機感が強かった。

 コロラド州からデモに参加した大学2年生のゲイフォード・バーカーさんは自身で作成したプラカードを持参していた。メッセージは「Not One More(もう一人も犠牲者を許すな)」だ。

80万人が参加した「命のマーチ」

 「銃規制を強化しないと米社会が壊れていく思いがあります。従軍して死傷する確率より学校内で銃撃事件の犠牲者になる確率の方が高いという話を友人とよくします」

 「(銃所有を保証した)憲法修正第2条を変えることは困難なので、厳格な規制を政治家に求める必要があります。そのために運動するのです」

 バーカーさんだけでなく、80万人の参加者を集めた「命のマーチ」の主催者は狙いを絞り込んでいた。

 今年11月に行われる中間選挙で、全米ライフル協会(NRA)から選挙資金を受けている議員・候補を落選させる運動である。

 デモ行進は世界中の様々な国で敢行されるが、デモが終わると運動の勢いは収束しがちだ。デモで声を拡大させ、有権者の意識を高めることはできても、政治目的が達成されることは少ない。

 有権者は政治家に陳情することはできる。しかし、現実問題として自分たちの主張を政策や法案に生かしづらい。さらに連邦議員の考え方を変えさせることも容易ではない。