ドナルド・トランプ大統領(以下トランプ)は1月20日で就任1年を迎える。目の前にはいくつもの難題が待ち受けている。
北朝鮮問題や中間選挙もあるが、政治生命にかかわる最大の問題は何と言ってもロシア疑惑である。トランプ本人が訴追される可能性が消えていないばかりか、連邦議会での「弾劾」という言葉はいまでも米国で飛び交っている。
筆者は昨年、当欄で何度か「トランプ弾劾」の可能性について記した。ロシア政府による2016年の大統領選介入はすでに確定的であり、トランプ陣営との共謀が疑われている。
弾劾される可能性はほとんどゼロ
同時に、ジェームズ・コミー前FBI長官を解任したことが司法妨害にあたる疑いもある。
ところが年明けに関係者を取材すると、少なくとも短中期的にトランプが弾劾される可能性はほとんどないことが分かってきた。どういうことなのか。
まず明確にすべきことがある。それは大統領を起訴する動きと弾劾の動きは別である点だ。起訴はトランプ本人が明らかに違法な行為をしたことで、刑事訴追されるということだ。
現在、元FBI長官のロバート・モラー特別検察官がトランプの周辺を洗っている。司法妨害を含め、ロシア政府との違法な共謀の有無が捜査されている。
モラー氏の下には16人の検察官がおり、最近新たにコンピューター犯罪を専門にする検察官が加わったばかりだ。