米国の玩具小売大手トイザラスが破産申請をしてから1カ月ほどが経つ。
創業69年のおもちゃ店が破産した理由は、すでに多くのメディアで報じられているが、業界の内情を探ると興味深いことが見えてくる。
アナログ企業がネット社会で生き延びられなかったという現実がある一方で、昔ながらのアナログ的なおもちゃの需要は今でも強いということだ。
トイザラスの歴史と破産に至った経緯
当欄では、一企業の破産を機にデジタルとアナログのせめぎ合いの実情を記したい。その前にトイザラスの歴史と破産に至った流れを簡単に述べることにする。
トイザラスは1948年、米東部ニュージャージー州で子供用の家具メーカーとして創業された。創業者はすぐに、家具だけでなくおもちゃを販売し始め、チェーン展開して事業を拡大していく。
全米の都市郊外に大型店舗を出すことで、町のおもちゃ屋さんを次々にのみ込んでいった。
ちなみに現在の店舗数は世界中に約2000店で、日本国内には160店がある。今回の破産申請で影響を受けるのは米国とカナダに限られ、日本法人の「トイザらス」は対象外とされている。
トイザラスが「危ない」と言われ始めたのは、今回の破産申請のはるか以前である。
と言うのも、ビジネスそのものが守勢に回り始めていたからだ。より安い玩具を売る大型量販店が出現していた。ウォルマートである。