米ドラッグストア大手が医療保険エトナを7.8兆円で買収

米大手ドラッグストアCVSの店舗。米首都ワシントンで(2017年12月3日撮影)。(c)AFP/MANDEL NGAN〔AFPBB News

 米国のヘルスケア業界に先週、新たな動きがあった。日本ではまだ見られない動きで、今後関心が高まりそうだ。

 米ドラッグストア最大手のCVSヘルス(以下CVS)が医療保険大手のエトナ(業界3位)を買収すると発表したのだ。この動きは日本で言えば、マツモトキヨシがライフネット生命を買収するということに似ている。

 両社が買収を完了させるのは2018年下期になる予定で、買収額は675億ドル(約7兆6000億円)と巨額で、統合されれば今後日本にも影響が出てきそうだ。

 今回の動きは単に「薬局が保険会社を食った」というだけではない。そこから先を見据えた業界の動きがあるのだ。何があるのかを見ていきたい。

全米で7位の大企業

 その前にCVSについて簡単に触れておく。

 1963年に創業以来、再編を重ねてきた同社は現在、店舗数が全米に9700。売上高は1775億ドル(約20兆円)に達する。「フォーチュン」誌500社のリストでは全米7位の企業だ。

 ちなみにCVSの意味は「C(コンビニエンス・便利)、V(バリュー・価値)、S(サービス)」。ドラッグストアといっても、マツモトキヨシなどと同じで、医薬品だけでなく歯ブラシや化粧品、洗剤や菓子までを扱う。

 これまで、ヘルスケア業界の巨大企業がM&Aを行うと、一般市民は負の結果を被ることが多かった。コスト高になり出費がかさむからである。

 今回の買収については業界から賛否両論が出ているが、特筆すべき点がいくつかある。消費者にとっては好ましいこともある。

 筆頭が医療サービスを低コストで、より簡単に利用できるようになる点だ。