フロムスクラッチでは設立後、しばらく企業のマーケティングに関するコンサルティングサービスを提供していたため、安部CEO自身も現場の仕事を見てきた。

 そして「これは本当に人間がやるべきなのか?」との疑問を持ち、まず自社で使うために自動化、簡易化のシステムを作ったのが始まりだったという。

 その自動化プログラムを使うことで、顧客企業にリポートを提出する時間を大幅に短縮することができ、驚いた顧客から「うちにもそのシステムがほしい」と相談され、プロダクト開発を開始。2014年10月に企業導入をスタートした、というのがb→dash開発の経緯だ。

 ちなみに、今回の大規模アップデートにより、もっとも面倒で時間を要するSQLというデータ変換と加工作業は、99%削減に成功している。

 「ここまでの改良を進めてこられたのは、作業に振り回されて疲弊しているマーケターたちに本来の仕事――マーケティング戦略を立ててPDCAを回し、さらに効果的なマーケティング戦略を考える――をしてもらいたいという思いからだ」(安部氏)

 「b→dashとは何かと聞かれたら、24時間365日働くマーケターでありデータサイエンティストだと思ってもらえばいいと答えている」

 「AIは疲れないし、どれだけ働かせても『辞めさせてくれ』とも言わない。それどころか最適なマーケティング施策を提案してくれるほか、実行管理までしてくれる」(安部氏)

 一方の「b→dash Lite」のサービスを提供する目的とは、中小ベンチャーにも「データ活用」を促すことにある。

 「中小企業の場合、そもそもデータを扱うためのリテラシーを持つ人が不在で、データ活用ができていないところが多い。作業工数の削減というより、データ活用を取り入れることによる収益性アップに貢献できる」(安部氏)

 これまで月額30万円だったサービスを月額5万円~というリーズナブルな価格に設定できたのは、「b→dash Prime Update」から中小ベンチャー企業の成果につながる機能のみに機能を絞り込むことで実現したという。