「日本の大手企業では優秀な人が多いため、経営層の方々にはデータ活用の重要性をいまだにご理解いただけないことが多い」

 「データ活用による労働生産性の向上は収益性を確保するだけでなく、専門スキルを持った人が本来の重要な仕事に専念すること。それが働き方改革につながるということを伝えていきたい」(安部氏)

 それはデータを活用すれば必ず収益性がアップするという確信を持っているからだが、逆にデータが活用できなければ、これからの企業経営は危ういという意味もある。

 このことに関して、執行役員の三浦氏は「少し前にユニクロがウエブでの売り上げを全体の30%に伸ばすことを目標に掲げている。これは、従来のような店舗型の販売ではもう利益率を上げることはできないということを示唆している」と語る。

 つまり、店舗を構えてそこに教育を受けた人を配置し、商品を販売するというものの売り方自体が非効率になっているということだ。

 「その意味で、働き方改革の本質とは、人員や残業を減らすなどのコスト削減による効率化のことではなく、儲け方そのものを変える“儲け方改革”だ」(三浦氏)

 効率的に売り上げを上げる新たなビジネスモデルを構築するには、情報ツールの活用が不可欠。「だからこそすべての企業がデータにもとづいたデータ活用経営に切り替える必要がある」と安部氏も言う。

 最近では、AIと人間が仕事を奪い合う対立関係で語られることが多いが、人口が減少し労働人口が減っていくこれからの日本には、経済力を維持していくために労働生産性を向上させることが大命題となる。

 もはやAIを使うかどうかではなく、いかに有効に活用するかが企業に問われているようだ。

(おわり)