導入にかかる時間と労力が恐ろしく削減できたことは分かるのだが、ではb→dashを導入することで具体的にどのような効果があるのか。

 たとえば、ある企業でAさんというマーケターがいるとする。そのAさんが上司から「1週間後の経営会議までに、先月のプロモーションの結果をまとめておいてくれ」と頼まれたとすると、これまではAさんが営業部門からセールスデータをもらい、財務部門から売り上げデータをもらい、広告部からは広告測定データをもらい・・・というふうに、社内の各部門からデータを集める作業から始めなければならなかった。

 しかし各部門でデータが扱える人は1人いるかどうか。いない場合は情報システム部門(情シス)のエンジニアか、場合によっては外部の運用パートナーのスタッフにお願いしなければならず、データを収集するだけで時間と手間がかかる。

 そのうえ、集まったデータは種類がバラバラなので、それを綺麗に整理してまとめていく作業をする。これも相当に手間と時間のかかる作業だ。

 ここでようやく、データを活用してリポート作成作業に入るが、当然、この作業も時間がかかる。たった1つのリポートを作るのに、丸々1週間かかってしまうこともざらにある。

 ところがb→dashを導入すると、すべてのデータを統合して一元管理できるので、データ収集の手間もなく、さらに結果や表なども1クリックで出せるようになるため、わずか1時間程度の作業でリポートが作成できるようになるという。

 ただし、b→dashの狙いは作業時間と工数短縮ではなく、本当の価値は収集したデータから、次にどんな施策をすれば収益に結びつくのかを「ビッグデータ×AI」の技術で割り出し、最適なマーケティング施策を打つことで、収益向上に結びつけるところにある。

 たとえば、ある教育系の大手企業では、教室予約をした生徒の出席率が低下し、それが収益率低下の原因になっていた。

 通常なら社内のスタッフが一人ひとりにメールを送ったり、スタッフから電話を入れたりするなどして出席を促す施策をとる必要があるわけだが、なかなか顧客への個別対応をする余裕がなかった。

 そこでb→dashを導入したところ、予約を入れた後に欠席する傾向のある生徒を特定し、一人ひとりにどのようなタイミングでどのような内容の連絡を入れるのがいいか――メールがいいのか、LINEがいいのか、電話がいいのか――最適な手段を選び、さらに一人ひとり個別の内容とタイミングでメッセージを送るよう設定したところ、150~200%も収益性が向上したという。