ショッピングモールやホテル、オフィスビル、文化施設などを誘致することによって、マンダレーを訪れる観光客やビジネス客の増加につながるという目算だ。
このマスタープランを受け、古澤さんたちはミョウハウン駅自体を改良することを提案した。
幹線鉄道や貨物線の上をまたぐように橋上駅を建設し、西側と東側を自由に行き来できるようにすることによって、人の流れを生み出し、新旧の街をつなごうというのだ。
自由通路や駅舎の改良によって、分断された街をつなぐ取り組みは、日本でも、現在工事が進行中の新宿駅をはじめ、全国の駅で目にすることができる。
合意形成など慎重に進めなければいけない側面もあるものの、駅の在り方を大きく変え得る構想だと言える。
古澤さんが描いた未来のミョウハウン駅のスケッチを基に、パース図と呼ばれる見取り図を書いたのは、現地スタッフのティンザーモンさんだ。
調査団とMRの間で定期的に開いている対処方針会議では、古澤さんたちがこのパース図を見せながら、橋上駅のアイデアを説明。MR側も、「それはいい考えだ」と喜んだという。
ミャンマーには、このほかにも、駅舎がなく線路上に列車が停まるだけの「駅」もあれば、日本のバス停を彷彿とさせるような、東屋にも似た駅もあり、規模や形はさまざまだ。
古澤さんは、今回の対象区間上にある全55駅から約20駅を建て替える必要があると判断し、MR側に提言。今後、全体のコストも鑑みながら、具体的にどの駅を建て替え、どの駅は改修にとどめるのか、一駅ずつ検討し、決定される。
「駅を改良することで、人の流れは大きく変わり、駅前や、その街全体の開発にも影響を与えるのです」と張り切る古澤さん。
より安全に、より清潔に、そしてより便利に変わる駅を舞台にこれから新しく生まれるドラマが、明るい笑顔と幸せあふれるものであることを願う。
(つづく)