新投資法が成立
桜の花が見ごろを迎えた4月上旬、岡山にあるホテルの一室で講演会が開かれた。ミャンマーの伝統衣装「ロンジー」と呼ばれる筒状の布をまとった男性が、約30人の企業人を前に、かの国の市場としての可能性や最新の投資環境について熱く語る。
男性の名は、本間徹さん。
2014年3月より3年間、ミャンマー計画財務省の傘下にある投資企業管理局(DICA)に投資振興アドバイザーとしてJICAより派遣され、外国投資家に対してより良いサービスを提供するための支援や、効果的な投資促進活動の後押しを行ってきた人物だ。
任期を終えて今年3月下旬に帰国すると、息つく間もなく国内巡業を開始。4月末までに訪れた街は、大阪や広島、札幌など計6都市に上る。
2011年に民政移管し、改革・開放路線に移行して以来、海外からの投資が飛躍的に伸び続けているミャンマー。実際、2012年度に14億ドルだった投資実績は、2015年度には約95億ドルと、7倍近くに増加した。
今年4月頭に発表された2016年度実績も、年度初頭の政権交代によって投資委員会のメンバーの任命が遅れ、3カ月ほど投資認可が止まっていた影響もあり、前年度に比べ3割ほど減少してはいるものの、その後は順調に挽回し、目標額60億ドルは突破している。
もちろん、日本企業から注がれる視線も熱く、2011年度まで50社前後で停滞していたミャンマー日本商工会議所の会員者数は、2016年度末には348社に増加している。
そんなミャンマーの投資環境が、大きく変わろうとしている。この4月より、外資規制の実質的な簡素化につながる新投資法が本格運用されているのだ。
小売業や卸売業は100%外資でも認可されるようになるかもしれないと聞いたが、最終的にはどうなったのか。出資が何%までなら国内企業とみなされるのか。国内企業および外国企業の事業活動が閉ざされている規制業種、いわゆる「ネガティブリスト」の内訳が知りたい――。
企業関係者から寄せられる具体的かつ切実なこれらの質問に一つひとつ答えるべく、本間さんはこの日、新投資法によって何が変わるのか丁寧に解説。
さらに、新投資法や細則の審議にあたっては、ウエブサイト上で広くパブリックコメントを呼び掛けたり、公聴会が開かれたりするなど、さまざまな人の目にさらされる形で進められてきたことを紹介した上で、投資環境関連の法制度が整いつつあることを強調した。