ミャンマーに滞在していた3年間、同氏に意見を仰ごうとする日本人ビジネスマンからの電話が鳴り止まなかったというのも、うなずける。
役割広がるDICA
他方、新規投資や企業設立の事務手続きを担うDICA自身も、この3年の間に大きく変わった。
第1に、本部機能の移転。2006年に最大都市ヤンゴンから人工都市ネピドーに首都が移されたのに伴い、他の省庁と同様、DICAの本部機能もネピドーに置かれていたが、ミャンマーへの投資促進と利用者へのサービス向上の一環として、2014年7月にヤンゴンに戻されたのだ。
これにより、投資の申請や打ち合わせのたびに利用者がネピドーまで出向く必要がなくなり、利便性が高まった。
第2に、地方拠点の開設。DICAは、ミャンマー全土の開発を進め、少数民族問題の解決を図る上でも今後は地方への投資促進が大きなアジェンダになるという意識の下、地方支所の開設も積極的に推進している。
2014年にはマンダレー、タウンジー、モーラミャイン、2015年にはパテイン、モンユワ、ダウェーに、そして2016年にはパアン、バゴー、マグウェーに支所を開設。2017年度中には全州にオープンすることが目指されているという。
第3に、「ジャパンデスク」の設置。DICAの中には、他国に先駆け、唯一、日本企業向けの相談窓口としてジャパンデスクが置かれている。
日本貿易振興機構(ジェトロ)とJICAから同時に専門家が着任しているのは、世界でもここミャンマーだけだ。
DICAの改革がこれほどまで急速に進んだ理由として本間さんが挙げるのは、アウンナインウー局長のリーダーシップだ。
本間さんは、「外資を呼び込み、これまでミャンマーになかったものを受け入れることがDICAの役割」だとした上で、「そのためには、従来の方法や規範から外れることもあり得る」と指摘。