衆議院解散、事実上の選挙戦に突入 10月22日投票

衆議院本会議で解散詔書が読み上げられ、拍手する安倍晋三首相(中央、2017年9月28日撮影)。(c)AFP/TOSHIFUMI KITAMURA〔AFPBB News

 安倍晋三首相は、いったい何のために衆院の解散・総選挙に打って出たのだろうか。消費税増税分を子育てなどに回すことについて、国民の声を聞くなどというのは、後付けの理由に過ぎない。北朝鮮の脅威に対して、対話のための対話ではなく強い圧力を加えていく、というのも同様だ。北朝鮮について言えば、すでに安倍内閣が進めていることだ。これに大きな異論は出ていない。

 少子高齢化や北朝鮮の脅威への対応のための「国難突破解散」だと首相は命名したが、首相自身が「国難とも呼ぶべき事態」だと説明しているように、国難そのものではないようだ。いずれにしても、この総選挙で「国難」がどう突破できるのか、まったく曖昧模糊としている。

 例えば、消費税増税について、9月26日、テレビ東京に出演した安倍首相は、「経済状況いかんにかかわらず引き上げるということではない。リーマン・ショック級の緊縮状況が起きれば判断しなければならない」と述べ、経済状況が大幅に悪化した場合には、再延期もあり得るとの認識を示した。「国難突破」のための増税だと言いながら、経済状況の大幅悪化という国難に直面したら再延期もあるというのだ。「国難突破」の掛け声はどこへ行ってしまうのか。

 最近の世論調査では、一端盛り返した内閣支持率だったが、解散・総選挙をこの時期に強行したことへの批判が大きく、支持率を不支持率が上回っている。国民の多くは「国難突破」につながる選挙とは見ていないということである。というより、そもそも設定に無理があったのだ。