現状7名が維持されるという前提で議論すれば、年齢的に問題なく留任できるのは、習近平と李克強の2人であり、もし「余人を持って代えがたい」という習近平の主張が通れば、「七上八下」という68歳定年の不文律を破って69歳になる王岐山も留任することになる。それ以外の候補として下馬評が高いのは、栗戦書・党中央弁公庁主任、汪洋・常務副総理、胡春華・広東省党委書記、王滬寧・党中央政策研究室主任などがいる。

 ここでは李克強、汪洋、胡春華は「共青団」グループに位置づけられ、習近平、王岐山、栗戦書、王滬寧が習近平派閥となる。

 問題は王滬寧で、彼は江沢民・胡錦濤・習近平の3代にわたるリーダーのブレーンを務めた人物で、前職は上海・復旦大学教授である。地方行政の経験がないという意味では「例外」的な人物であるものの、習近平主席の信任が篤く、外遊に常に随行していることもあって、異例の抜擢があるかもしれないとされている。抜擢があれば、彼は習近平派閥ということになろう。そして、もしダークホース的に抜擢される可能性があるとするなら、新任の重慶市トップとなった陳敏爾、また北京市トップの蔡奇にもチャンスがあるかもしれない。

 ただ、ここに上げた「入常」(常務委員会入り)候補も、あくまでも「順当に行けば」の話であり、実際にどうなるかは直前になるまで分からない。誰がどのポストに座るかも流動的で、確実なのは習近平の総書記留任だけだ。中国には失礼な言い方になろうが、外国のチャイナウォッチャーにしてみれば、5年に1度の「エンターテイメント」なのであり、権力闘争が激しければ激しいほど、見応えがあるのである。