中国紙「トランプ米新大統領に対抗し、核強化すべき」

南シナ海で軍事演習を行う空母「遼寧」を含む中国海軍の艦船(2017年1月2日撮影)。(c)AFP 〔AFPBB News

 1月20日、米国でトランプ政権が発足した。早速、TPP完全離脱、メキシコ国境での壁建設、さらに中東・アフリカのイスラム国家7カ国からの米国入境一時拒否など大統領令を頻発し、まさにトランプ旋風の様相を見せている。

 そのトランプ政権は選挙キャンペーン中から中国を「敵視」してきたが、まだ中国に対する具体的な動きは見せていない。中国も様子眺めの慎重な対応を取っている。

 新年から春節(今年は1月28日が旧正月)にかけては、中国発のニュースが乏しくなる。そうした中で目立ったのが、年初に空母「遼寧」が東シナ海から西太平洋に出てバシー海峡を通って南シナ海に入り、その後、台湾海峡を北上して母港の青島に帰港したことである。中国の空母機動部隊が、第一列島線を越えて台湾を周回する演習を初めて実施した。

 中国海軍にとって歴史的意義を持つこの演習で指揮を執ったのが呉勝利・海軍司令員(71歳)であった。演習の直後の1月17日には、呉勝利の引退と海軍司令員の交代が報道された。つまりこの演習は、海軍司令員を11年務めた呉勝利にとって引退の花道を飾るものだったということだ。

ネット上に出回った「軍退職者リスト」

 中国共産党は2017年秋に第19回党大会を迎える。冒頭に「トランプ政権の動きに慎重な対応」と書いたが、実際には、党大会に向けて国内の体制固めに余念がないからだとも言える。党大会で総書記に再選され、2期目の続投を目指す習近平政権にとって最も重要な課題は、改選される党中央委員(約200名弱)の過半数以上を習近平主席の支持者で固めることである。

 昨年から地方指導者(省党委書記、省長)や中央直轄市(北京、上海、天津、重慶)の党委書記や市長等の改選が行われてきたのも、党大会に向けた準備の一環だ。習近平に近い人々がこうしたポストを埋めつつあるのが現状である。