北朝鮮、地対艦ミサイル実験成功と発表 「日本海の目標に命中」

北朝鮮国内の非公表の場所で行われた新型地対艦巡航ミサイルの発射実験を撮影したものとして朝鮮中央通信(KCNA)が配信した写真(撮影日不明、2017年6月9日配信)〔AFPBB News

 国会は会期末に近づき、街頭では野党に連動した市民グループが喧噪を増している。安保法制を戦争法と喧伝したと同様、テロ等準備罪を共謀罪と詐称して国民に悪い印象を植えつける作戦だ。

 その間にも北朝鮮は核実験準備や弾道ミサイルの発射を続けている。日本への脅威は20年も前から顕在化しているのに、国会では日本の安全状況を確認する質疑はほとんどなく、愚にもつかない論戦ばかりだ。

 北朝鮮は1993年に国際原子力機関(IAEA)の査察要求を拒否し、核拡散防止条約(NPT)脱退を宣言する。翌94年に核開発プログラムの凍結を盛り込んだ米朝枠組み合意が成立。

 しかし、北朝鮮は合意を無視し、年間50万トンの石油などの支援を受けながら核開発を続け、2005年には核保有を宣言し、2006年には第1回の核実験を強行した。これらに先んじて、1993年にはノドン、98年にテポドンを発射している。

 テポドンの第1弾は日本海に、第2弾は日本上空を通過して太平洋に着弾する。日本に与えた影響は大きく、北朝鮮の「脅威」と認識された。閣議は情報収集衛星の装備を決定し、2003年に第1号が打ち上げられた。

国民に見えない段階から「脅威」に対処

 そもそも、安全保障や防衛は脅威をもたらしそうな事態を想定し、先行した対策が求められる。特に兵器では10年先20年先の状況を予測し、研究開発を進めることになる。

 「危機」が顕在化してから研究・開発に取り組むようでは遅すぎる。ましてや「脅威」が目の前に存在する場合は、即刻対処しなければならない。

 政治家の条件に情熱・責任感、そして判断力を上げたのはマックス・ヴェーバー(『職業としての政治』)である。国会の論戦を聞いていて、幾人がこれらの条件を備えているか疑問である。

 自衛隊は、近隣国が化学兵器を保有する限りは自ら「使用」する考えはなくても、防護の視点から研究は不可欠であるとした。多くの政党は問題視したが、研究の成果は地下鉄サリン事件で証明された。

 情報収集衛星でも同様な状況が再現された。1969年に衆議院は「宇宙の開発及び利用の基本に関する決議」を行い、全会一致で「宇宙に打ち上げられる物体及びその打上げ用ロケットの開発及び利用は、平和の目的に限る」とした。

 この結果、衛星の開発と利用はもっぱら非軍事目的に限られ、偵察衛星は必要性が認識されながらも研究開発すらできなかった。