安倍首相の憲法9条改正発言が波紋を広げているが、世論調査結果を見る限り、国民の受け止め方は冷静なようだ。
5月20日、21日に調査を実施した毎日新聞の場合は、9条改正について3択で聞いているが、その結果は「わからない」が32%、「反対」が31%、「賛成」が28%となっている。
同日に実施した共同通信の調査では、「憲法を改正して9条に自衛隊を明記する必要があると思うか」という質問をしたのに対して、「必要だ」が56%、「必要ではない」が34.1%となっている。
また、産経新聞・FNNの合同世論調査(5月13日、14日実施)では、共同通信とほぼ同じように「安倍首相が9条に自衛隊の存在を明記する意向を表明したことに賛成か」と質問し、これに対して「賛成」が55.4%、反対が36%となっている。読売新聞の調査もほぼ同じである。
他方、朝日新聞の世論調査(5月13日、14日実施)では、「安倍首相は、憲法9条について、戦争を放棄することや戦力を持たないことを定めた項目はそのままにして、自衛隊の存在を明記する項目を追加することを提案しました。このような憲法9条の改正をする必要があると思いますか」というやたらに長い質問をしている。これへの回答は、「改正をする必要がある」が41%、「その必要はない」が44%となって、共同や産経の調査結果と大きくかい離している。
毎日新聞のように漠然と9条改正について聞くと「わからない」が一番多くなり、共同通信や産経・FNNなどのように自衛隊の明記についての賛否を具体的に聞くと賛成が多くなっている。朝日だけが賛否が逆転しているのは、「このような憲法9条の改正をする必要が・・・」という問いが原因とみられる。「このような」には否定的ニュアンスがあるからだ。