機上での思わぬ出会い。(写真はイメージ)

 中国に渡ってからの15年間、留学から起業に至るまでの道のりを振り返っている。

前回の記事:「中国でチョコパンに耐えかね副業したらどうなったか」

 日本語学校で月給1500元という、当時の中国の人でもかなり底辺な部類に入る生活をしていた僕だったが、すごいことに既に結婚していた。今回は、至極個人的な話になるが、その後の起業の際に背中を押してくれたのは妻なので、そのなれそめから触れておきたいと思う。しばしお付き合いを願いたい。

中国人女性との結婚

 相手は大体想像がつくと思うが、中国の女性だ。しかも1歳年上の姉さん女房だ。彼女はもともと航空会社に勤めていたキャビンアテンダント(CA)だったのだが、日本留学のために職を辞していた。

 僕が中国に留学している間、彼女は逆に日本に留学するという遠距離恋愛なども経て、一応実を結んで結婚に至ったわけだが、彼女の周りでは当時相当の反対があったようだ。当時は僕の鈍感さと中国語能力の低さのなせるワザか、そうした空気に一切気づかず、面の皮の厚いのもいいところだったのだが。

 彼女の家族、親戚、友人、知り合いは、彼女が僕と結婚することを決めたとき、頭がおかしくなったと思ったらしい。確かに、日本人と言えば当時はそれなりに裕福で、駐在員の生活ぶりも現地の中国の人とは天地の差があったわけだから、普通に考えたら日本人と結婚するといえば、ちょっとしたものだったはずだった。

 だが、よりによって僕である。

 付き合っていたころから、僕は彼女に誘われてよく食事会に参加していた。だが、中国語能力も低い上に、言語能力に輪をかけてコミュニケーション能力が低かったので、食事会に参加しても一言も話さずに黙々とご飯を食べているだけで、かなり感じの悪い日本人に映っていたようだ。

 僕だって、せっかくお呼ばれしたのだから、できるだけ会話に参加して、冗談の1つも披露したいと心から思っていた。