IoT産業化で、中国の製造業はどうなるのか?

 主要な先進国がIoTの産業への応用を重要視する一方で、中国政府も早い時期からIoT産業化に関心を寄せていた。これまでに、「中国製造2025」や「中国スマート・マニュファクチャリング(智能製造)の5カ年計画(2016~20年)」などの関連政策を次々と打ち出しながら、官民一体でモデルプロジェクトの実践と産業パークの建設を推進してきた。

 そこで本稿では、まず中国の製造業におけるIoT重視の流れと「中独連携」の動きを確認したうえで、日系企業が中国の当該業界に参入する際の課題と切り口について考察したい。

「製造強国」に向けた一連の産業振興策

 中国はこれまでの「製造大国」から「製造強国」にするという大目標を掲げ、“中国版インダストリー4.0”といわれる「中国製造2025」の産業政策を2015年に打ち出してきた。

 中国製造2025においては、「情報化と工業化の融合」をキーワードとしており、IoTを中核技術の1つに据えた「製造技術のデジタル化」を図りながら、将来的な発展の礎となるスマート・マニュファクチャリング・システムの確立を目標に掲げている。

 政策に基づいた具体的な実証実験プロジェクトや、地場系大手製造企業の動きもすぐ堅調になってきている。国務院の工業情報化部は、スマート・マニュファクチャリング(智能製造)に関して、2015年6月に94モデルプロジェクト、9月にも追加で46モデルプロジェクトのリストを発表した。

 政府系研究機関をはじめ上海電気(重電メーカー)、ハイアール(家電メーカー)、中車(鉄道車両メーカー)、長安汽車(自動車メーカー)などによるスマート・マニュファクチャリング・プロジェクトが選出された。