工業情報化部はさらに、2016年に江蘇省南京市で開催された「世界智能製造合作発展トップフォーラム」で、「中国スマート・マニュファクチャリング(智能製造)の5カ年計画(2016~2020年)」を発表し、中国製造業の「スマート化」を推進していくためのロードマップを明らかにした。2020年までに、「重点分野で製造プロセスのデジタル化」を基本的に実現させることを方針としている。

 具体的には、(1)スマート・マニュファクチャリングに関する200項目以上の業界標準を策定すること、(2)年間売上規模10億人民元(約160億円)超の「スマート・マニュファクチャリングのソリューションメーカー」を40社以上育成すること、(3)IoT活用型のスマート工場の普及率を20%以上に引き上げることなどを目標として設定した。

 また、スマート・マニュファクチャリングを実現するための具体策として、10のアクションプランも前述の5カ年計画に明示されている。

 そこでは、(1)スマート設備の製造業の振興、(2)共通基盤技術のイノベーション、(3)スマート・マニュファクチャリングの標準システムの構築、(4)インダストリアルインターネットの基盤確立、(5)スマート・マニュファクチャリングのモデル事業の推進、(6)「中国製造2025」で重点10業種*に指定された領域でのデジタル化工場・スマート・マニュファクチャリング型工場の整備加速、(7)中小企業のスマート・マニュファクチャリング化の促進、(8)スマート・マニュファクチャリングを巡る産業生態系の育成、(9)関連の産業集積地・産業パークの発展、(10)スマート・マニュファクチャリング関連人材の育成といった10大施策を挙げている。

*「中国製造2025」に挙げられた重点10業種は、次の通り。(1)次世代情報技術、(2)高度なデジタル制御の工作機械とロボット、(3)航空・宇宙設備、(4)海洋エンジニアリング設備とハイテク船舶、(5)先進的な軌道交通設備、(6)省エネ・新エネ自動車、(7)電力設備、(8)農業機械、(9)新材料、(10)生物薬品・高性能医療機器。

進みつつある中独連携の取り組み

「中国製造2025」をはじめとする中国政府のこの一連の産業政策は、もともとドイツ政府が主導する「インダストリー(Industrie)4.0」の影響を強く受けており、両政府間の連携活動も活発に行われてきている。